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外資系法律事務所の報酬水準

こんにちは。

これまでこのブログでは司法試験や司法修習のことを記事にしていましたが、それも一段落した、というより当時の記憶をもはや失ったので、今回はいわゆる外資系法律事務所の報酬(収入又は年収ともいう)水準について情報共有しようと思います(突然)。

大人の方へ:この記事で紹介している情報はすべて法律事務所の公式ウェブサイト又はニュースサイト発信の記事から取得したものです。

1. Cravath Scale

外資系法律事務所となると、東京オフィスに所属する日本法弁護士の報酬であっても、世界のトレンドから完全に無縁というわけにはいきません。そして、弁護士(便宜上、日本法の弁護士以外に諸外国において同等の資格を有して活動する人々を含みます。以下同じ。)の報酬に関してここ数年ほど世界中の話題をさらっているのが、Cravath, Swaine & Mooreという米国の法律事務所が採用している報酬水準(以下「Cravath Scale」)です。このCravath Scaleは私の知る限りアソシエイトの報酬水準として世界で最も高額なのですが、当のCravath, Swaine & Mooreのみならず、他の多くの法律事務所もこのCravath Scaleないしそれと同等の報酬水準を採用する形でアソシエイトの報酬水準を上げているという状況です。そうした法律事務所に所属するアソシエイトにとってはまさに棚からぼたもち?

ひとまず具体的な金額で見ていただくのが早いと思いますが、Cravath Scale自体も他の法律事務所との競争に巻き込まれながら上がり続けているらしく(笑)、おそらく最新版は下表の通りです。表中のたとえば「2017」というのが2017年採用or入所?(要は1年目)のアソシエイトのことかと思います。
d0233430_14411892.png

日本円への換算にはお好きなドル円レートを使ってみていただければと思いますが、おそらく1年目からBase Salary(いわゆるボーナスを除いた報酬)だけでも2,000万円を超えてくる水準かと思います。アソシエイトにこれだけ払えるような法律事務所がどうやって収益を上げているのかに関する検討は次世代に託された課題です。

そこそこ外資系法律事務所の名前に詳しいという自信がある方は直接こちらの記事(https://abovethelaw.com/2018/06/salary-wars-scorecard-which-firms-have-announced-raises-2018/)をざーっと見ていただければと思いますが、この記事によると、Cravath, Swaine & Moore以外にも数多くの外資系法律事務所(正確にはGlobal/International law firm)がこのCravath Scaleないしそれと同等の報酬水準を採用しているものの、そのほとんどは、各国のオフィス所属のアソシエイトに対して一律に当該報酬水準を適用するのではなく、NYオフィスその他の米国内オフィス所属のアソシエイトないし米国(各州)資格を有するアソシエイトのみへの部分的な適用にとどめている(それ以外のアソシエイトはそこまで高い報酬はもらっていない)ことがわかります。

しかしながら例外はあり、この記事によると、ほぼ世界中のオフィスでこの報酬水準を採用している法律事務所が3つ存在します(「Global」で記事ページ内を検索すればわかります)。ここでこれらの法律事務所に就職・転職しようと思った方の代わりにリサーチしておきましたが、このうち1つの法律事務所には東京オフィスがなく、残り2つの法律事務所は東京オフィスを有するものの所属しているのがNY州資格者のみという状況(すなわち日本法弁護士でCravath Scaleの恩恵を受けている人はいない)みたいです。(なお、公開情報ではないようなので記載しませんが、実際には、東京オフィス所属の日本法アソシエイトに対してCravath Scaleと同等の報酬水準を適用している外資系法律事務所は存在します。上記の記事はあくまでも読者からの情報提供ベース(?)のようなので、このほかにも抜け漏れや間違い等が存在する可能性は大いにはあり、その点ご注意ください。)

なお、以下はうろ覚えで70%くらいの確率で間違っていると思うので読んだ瞬間に忘れていただきたいのですが、米国でアソシエイトの報酬水準が高騰したもともとの理由は「NYの家賃がかなり高いため、これまでの報酬水準だと若手アソシエイトがオフィスの近くに住めず、通勤に時間がかかっている」(ハードワークの中でそれは致命的?)という事情に関連していたと記憶しており、それであれば基本的にCravath Scaleが米国中心の適用にとどまっているという現状は合理的かなと思っています(訳:悔しくない)。同じような観点からいえば、東京だと通勤ラッシュに巻き込まれないように配慮してもらえれば嬉しいかなというところでしょうか。

2. 東京オフィスを有する外資系法律事務所の状況

すべて調べているときりがないので、Wikipediaの「外資系法律事務所」という記事(https://ja.wikipedia.org/wiki/外資系法律事務所)に載っている中から適当に公式情報ベースでリサーチしてみました。素晴らしいことにいくつかの英国系法律事務所は公式ウェブサイト上でアソシエイト1年目の報酬を明らかにしているのですが、あくまでもそこで紹介されているのは「本国」である英国採用のアソシエイトに関する情報であり、東京オフィスの日本法弁護士の報酬とは異なっている可能性が高いのでご注意ください。しかしながら、一般論として英国採用と東京オフィス採用の間でめちゃくちゃに差があるわけでもないとは予想しています。(余談ですが、はたして外資系法律事務所の国内オフィスや五大法律事務所その他の国内法律事務所も人材確保のため報酬水準を公開する時代が来るのでしょうか?)

英国系(お好きなポンド円レートでどうぞ。)

  • 某法律事務所外国法共同事業のロンドンオフィス:ボーナス含め最大で£91,000

  • 某法律事務所のロンドンオフィス:£85,000

  • 外国法共同事業法律事務所某のロンドンオフィス:£83,000

  • 某・アンド・某外国法共同事業法律事務所のロンドンオフィス:£83,000

米国系

米国系法律事務所の「本国」である米国ではまさにCravath Scaleが適用されているんだと思います。

ちなみに米国系法律事務所のロンドンオフィスを含めて、英国での報酬水準をまとめたウェブサイトはこちら(https://www.chambersstudent.co.uk/law-firms/salaries-and-benefits-compared)です。上記の英国系法律事務所のウェブサイトにも同様の表記がありますが、ここでいう1st yearや2nd yearというのはTrainee期間(司法修習とは似て非なる資格取得前の2年間の研修期間)を指しており、「Qualification salary」というのがアソシエイト1年目の報酬のことです。なお、Trainee期間中には英国外のオフィスに派遣されることがあり、こうした外資系法律事務所に所属して日本に派遣されてきているTraineeも常時おそらく数十人は東京にいる(もしくは休み中に日本全国を旅している)ので、興味あればすぐ彼らを見つけて話を聞けると思います。

3. 個人の感想

報酬水準を考えるにあたっては、初年度の報酬のみならず、そこから年次を経ての伸び率、さらにはパートナーに代表される上位ポジションへの昇進(大幅な昇給)の可能性も重要であるほか、より大きな観点としてトータルで満足できる職場選びのためには、報酬水準のほかにも、業務分野、具体的に任される業務内容や弁護士としての成長可能性、一般に自分の力を発揮できる職場環境であるかどうか、その他長時間労働・休日出勤の有無、子育て支援の充実度、職場の雰囲気等まで幅広く検討する必要が出てくるのかなと思います。この中でもどの要素を重視するかは個人によって異なるところだと思いますが、いずれにせよより多くの人にとって魅力のある業界となることを期待しています。

おわり

# by kowaki2112 | 2019-02-23 17:20 | 日々の感想

平成27年度二回試験③使用した主な教材とその使用方法、二回試験対策

 当然ながら私がここに挙げた教材以外を全く使っていないということではありませんし、ここに記載したこと以外を考えたことがないということでもありません。この時期になってもブログに書く気力がわくくらい自分が重要だと思うことのみをざっと書いただけなので、司法修習生の方には教官の意見や他の現役・OB修習生の経験談も参考にしていただきたく思います。

〈民事裁判〉
・「〈完全講義〉民事裁判実務の基礎(第2版)上巻」大島眞一
 第1版は司法試験受験前に読んでいましたが、新たに第2版を買って、民事裁判修習中、要件事実について各論だけでなく基本的な考え方自体から復習するために読みました。例えば「今日は売買代金請求の事件があるから売買に関係する箇所全部読もう」という風に日中の時間を使って読み進めると割とすぐに全部読めました。

・「改訂 紛争類型別の要件事実 民事訴訟における攻撃防御の構造」司法研修所編
 「理解を深める教材は良いのが色々あるが、試験的に言えば最後は白表紙に戻ってくれ」との教官アドバイスがあったのですが、「新問題研究 要件事実」には上記教材等で既に知っていることしか書いてなかった(と思った)ので近いものをということでこれを読み、研修所の考え方として最新でない箇所等を適宜修正しつつまとめノート化しました。各章末の総覧的なブロックダイアグラムは、その1つずつにつき内容を説明できるか確認するという復習方法にも使えて便利でしたし、まとめノートにも挟み込みました。

・「事例で考える民事事実認定」司法研修所
 割と初期から、書証の作成者や成立の真正(二段の推定)、類型的信用文書と処分証書、事実認定の枠組み4パターンの箇所を何度も読みました。これは覚えるというよりも理解することが肝要という感じで、各種起案や事件で事実認定をするにあたりよくわからなくなることがあれば再度これを読み直して理解を補充するという作業を繰り返して行間を埋めました。

・色んな修習生がまとめている二回試験の心得的なもの
 口頭弁論調書等を確認するとか、人証ではどのあたりを意識するとかそういう話。

・二回試験対策
 まず、訴訟物を把握する。訴訟物の把握となるとよく「よって書き」に言及されますが、記録表紙に「○○請求事件」等と記載しされている事件名も合わせれば基本的なところで間違える気はしないと思います。
 次に、主張を要件事実に整理し、認否を確認して、争点を特定する。証拠から主張を構成しないようにとよく注意されますが、私は争点を特定するまで証拠を見なかったのでそういう心配はせずに済みました。主張自体失当に関する設問があればかく主張周りの条文を実際に読んで検討することが重要です。私はそれを面倒臭がったので二回試験でも間違えました。
 そして、事実認定を求められた争点につき事実認定の枠組みを検討する。類型的信用文書(処分証書ではない)の有無を間違えたら大きく判断枠組がズレてしまいますが、証人尋問等でも書証の有無を前提に話が進んでいきますし、そういう間違いはありませんでした。ここでは、直接証拠が本人供述のみの場合に間接事実型によるか否かを含め、自分の思考過程についても書く必要があるように思います。
 類型的信用文書があれば、その成立の真正を踏まえて処分証書性を検討し、処分証書であるか否かを判断する。成立の真正については、署名か押印か、押印なら二段の推定のどの段階に争いがあるのか、どのような反証がなされているのかを検討する。この過程で私が地味に重要だと思うのが処分証書性(?)という概念で、特に教材で学んだことはありませんし、たいていは争いがないので「処分証書性については争いがない」の一言で済ませていましたが、例えば原告が契約成立の証拠として契約書を提出したケースで被告が「原告からの申込みに対して一旦その承諾の書面たる契約書を作成したものの気が変わったため結局それは原告に交付していない」と主張する場合なんかには、本当に意思表示が当該書証に「よってされた」のかという意味で面白い問題になると思います。
 間接事実型であれば、主張書面と人証から当事者や裁判官が着目している間接事実を拾い集め、積極方向の事実と消極方向の事実に大きく分類した上、その中で事前の事実、その際の事実、事後の事実等に小さく分類しました。民事裁判起案での事実認定で重要なのは、間接事実は動かし難い事実のみしか挙げないということで、これにより事実を認定する作業そのものは極めて簡単になっていると思います。
 結局、試験なので主張整理するにしても間接事実を挙げるにしても採点対象として想定されてそうか否かについて想像し、それとわかるように書くことが重要かと思います。人生経験豊富な修習生は起案事件についても色んな面白い着眼点を聞かせてくれましたが、それを起案に書いてどうなるかはまた別の話のようでした。

〈民事弁護〉
〈刑事裁判〉
〈検察〉
〈刑事弁護〉

# by kowaki2112 | 2015-12-23 12:32 | 日々の感想

平成27年度二回試験②二回試験受験

〈1日目(木)・民事弁護〉
 てっきり最終準備書面型が出ると思っていましたが、事案分析&訴状起案型でした。
 弁護修習及びホームグラウンド修習を通じて弁護士的な事件処理には慣れ親しんでいたこともあって、仮に採点者が第一に想定しているのとは違っても十分に説得する自信はあるけど別にこれだったらそんな説得とかいう段階までいかず普通にわかってくれるだろうというような内容の起案をしました。途中悩む箇所はありましたが、民事弁護では落ちないと思っていたので、自分の起案の出来がどうかという発想自体あまりありませんでした。
 誤って付箋を貼ったまま提出された解答用紙から付箋を剥がすのに本部(?)への確認を含めて15分くらいかかっているのを見て、時間内に答案を出してさっさと帰宅するのが受験戦略上賢いかなと思いました。
 ちなみに、前日は寝る前にリポビタンDを飲み、寝不足気味ながら6時に起床して朝食をとりつつ将棋の勉強をし、家を出て試験中の飲み物には缶コーヒー390ml2本を用意し、昼食にはおにぎり2個(焼きたらこ1個と鳥五目ゆで卵半分割りみたいなやつ1個)に栄養バーみたいなやつ1本を食べるというパターンを試験日ごとに繰り返しました。集合修習ほどゆったり昼食をいただく時間的余裕はなかったので、これくらいでちょうどよかったです。ただ、二回試験に限ったことではないですが、コンビニおにぎりを食べると受験を思い出して嫌になる体になってしましました。

〈2日目(金)・民事裁判〉
 私が昔から気にしていたけど自分たちの期ではこれまで出題されなかったというような分野からの出題で、当日の朝にも見直しており、これはキタ感がありました。訴訟物は正解し、主張整理の基本的なところは正解しつつも一部間違え、事実認定の枠組みは正解し、事実認定は無難に間接事実等を拾い集めました。
 主張整理で出した争点がそのまま全部事実認定の対象にならないパターンは私は初めてだったので、おっとと思いつつ注意しました。
 集合修習での起案と同じような手応えだったので、起案に魂を売ったかのように起案が出来る人にはかなわないものの、数%の不合格レベルではないと確信し、前日の教訓を生かして早めに答案を出して帰りました。

 翌日からは3連休の中日があり、地元に帰って友人の結婚式に出席するなどして有意義に過ごしました。

〈3日目(火)・刑事弁護〉
 事案はともかく証拠構造的にはシンプルな問題でしたが、全部のせ感があり、拾える事実も多かったので、単純に時間に追われました。多かれ少なかれ関係する事実の全てを拾わなくても十分に合格するはずですが、気づいた以上は書きたくなるもので、その結果としてあまりメリハリのない起案になったかもしれません。もっとも、それでも安全レベルだと思いました。

〈4日目(水)・刑事裁判〉
 実務修習での経験と集合修習での反省を生かし、徹底的に一般的な論理とその事案に寄り添って起案しました。これも間接事実を整理した要件と事実認定の対象となる要件が異なるパターンだったので、優しさを感じながらも現実には問題の読み間違いがこわいなと思いました。また、刑事裁判起案は小問が問題文に埋もれがちなので、解答漏れがないように注意しました。これも特に不安のない起案ができました。

〈5日目(木)・検察〉
 民事裁判に引き続き、私が昔から気にしていたけど自分たちの期ではこれまで出題されなかったというような分野からの出題でした。犯人性の間接事実をよく考えて組み、被疑者供述の信用性を型通りに検討しておなじみの評価に落とし、犯罪の成否について各項目を素直に埋めていきました。犯人性の間接事実の整理がすこし無駄に複雑になってしまったかもしれないと思いましたが、すっきりとはしていないというだけで別に論理的な間違いはないはずだと思え、特に現実的な不安にはなりませんでした。

 結果的に自分比で各科目そこそこの起案を揃えられたので、結果発表まで特に意識せず過ごすことができて楽でした。

# by kowaki2112 | 2015-12-22 04:55 | 日々の感想


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